半導体材料におけるナノ構造・分子構造の設計性を駆使して電子の性質を操り,従来の光学現象と輸送現象のくくりを超える新たなエレクトロニクスの開拓を目指します。特に,光と電波の間の未成熟な周波数範囲であるテラヘルツ(THz)領域に重点を置き,次世代のテラヘルツ固体光源やフレキシブルデバイスにつながる機能を探究しています。かたくて結晶性に優れた無機半導体(超格子構造など)とやわらかい有機半導体(共役ポリマーなど)の両方を対象として実験を進めています。
主力の実験装置は,フェムト秒(10の-15乗秒)という非常に短い時間幅の光パルスを作り出すモード同期チタンサファイアレーザーです。フェムト秒パルスをトリガーにして,従来よりも約千倍速く動作する“オシロスコープ”を作り,テラヘルツ電磁波が持つ電界の時間波形を観測することができます。本研究室は,この“オシロスコープ”を試料の特徴に合わせて自作し,テラヘルツ領域における増幅利得や伝導特性を測定することを得意としています。さらに,原子レベルで試料を観察する走査プローブ顕微鏡や,各種の試料加工装置を所有しています。試料の構造をnmスケールで直接的に観察しつつ工夫することによって,優れた機能を引き出すことができます。国内外のグループとの共同研究も積極的に行っています。